Map(私の個人会社)を立ち上げたのが、平成20年(2008年)5月、55歳の時だから、早いもので13年あまりが経つ(OUEN Japan設立は平成26年。7年前)。

それまでは、銀行勤務をはじめいくつかの会社を転々としたサラリーマンだった。生命保険エージェントの時は個人事業主だったが、明治安田生命専属のエージェントだったから意識としてはサラリーマン感覚だった。数ヶ月は無職で、官民の職業紹介所に登録していた。

ゼネラリストとは聞こえはいいが、手に職を持つことをしてこなかったことは組織を離れると世間は受け入れてはくれない。
スキルがない悲哀を感じ、世間の厳しさを痛感した40代後半からの10年間だった。

ただ、生命保険エージェントの時は、私が培ってきた人脈が活きた。
しかし、「この仕事が果たして天が私に与えてくれた得手を活かすものか」「私のミッションは、果たしてこの仕事を続けることなのか」との思いが沸沸と湧いてきて、3年あまりで生命保険エージェントを辞めた。

しかし、このエージェントから学んだことは「人と人をつなぐことは私の得手を活かすことであり、それを別の形でビジネスにしよう。そして、そのことが、つないだ人たちが幸せになることにつながる。それが、世のため人のためになることだ」と思うに至って、南青山ビジネスパートナーズ(Map)を設立した。

そして、その延長線に学生と企業をつなぐ(OUEN塾)を運営するOUEN Japanがある。
そして、OUEN Japanは、OUEN塾に関わる学生と学生たちを応援する企業の皆さんとのコラボにより、皆んなが住み働く地域の創生のサポートをすることをミッションとする。 その道のりは遠く長かったが、漸くその入り口までたどり着いた。

私には、組織の宮仕えはちょっと無理だ。私はそんなに駆け引きは得手ではない。どうしても組織では私のキャラをフルに活かすことができない。一匹狼が性に合っている。 ただ、この一匹狼は独りで彷徨うことはしない。この一匹狼は自由気儘だ。一匹狼は、人と人をつなぎ合わせて、緩やかな組織をつくる。組織の蝶番になる。蝶番に徹する。
その組織は人を縛ることはしない。出入り自由だ。相手のことを思い遣る、本来の忖度をする仲間たちだ。ベースには、人と人との「信頼」がある。人は、その仲間の中にいたいからいる。
組織が中心ではない。あくまでも、個人が中心だ。個人中心の緩やかな組織だ。そして、この「コミュニティ」こそがこれから幸せに生きていく貴重な資産だと思う。そんなことを考える。

菅内閣は1年の短命に終わる。ある意味では菅総理は可哀想な人ではないか。

人間には欲がある。欲があって人間は成長する。人間の欲で世の中は豊かになってきた。しかし、そこにアウフヘーベンする知的作業がないといずれは奈落の底に落ちてしまう。そのために、「己を知る」「足るを知る」という謙虚さと感謝の心がどうしても必要なのだ。

人事は、人を育てることもするが、人を貶めることもする「諸刃の剣」だ。権力で人を思うように動かすことは、権力者にへつらうだけの貧しい心根の人間しかつくらない。

「己を知る」ことができれば、裏方の人間が表舞台に出ることはしなかったのではないか。ここに人間の弱さがある。
権力という超魅力的な餌が目の前にぶら下がってきたら、それを抑えることはなかなかできないのが人情なのだろう。己を知って、足るを知ることは神ならぬ人間はなかなかできるものではない。 しかし、それをすることは自分をアウフヘーベンすることであり、それが人間の成長であり、人間の器を大きくする。

「組織のトップは清濁合わせ飲む器量を持て」と言われる。その典型が自民党の派閥の長なのか。その長は清濁合わせ飲むだけではない。陣笠にも清濁合わせ飲ませる。 派閥を持っていない菅総理にはそれはできなかった。派閥の長たちに思うようにやられてしまった。

とにかく、組織に身を置くとはそんなものだ。醜いことは山ほどあるだろう。それを承知の上で組織に属することだ(私は一匹狼だからそんな柵は今はない)。

自民党総裁選を外野席で見聞きするにつけ、「己を知る」「足るを知る」ことは幸せな人生を送るにおいて必須なことだと痛感している。

小林 博重