草刈正雄のCMで南麻布「了聞」を知った。その後に、銀行の後輩である馬形さんが同社に入社した。ますます、「了聞」が身近になった。

また、馬形さんが大場昭義さんと私をつないでくれた。

久しぶりにお二人のことを思い、懐かしさとと共に、このご縁はこれからの私の人生の生きざまにも関わるのではとの想いをしている。

馬形さんのこと

馬形貢さんとは東大在学中に知り合った。

私は文京区西片の閑静な住宅街の一角に下宿していた。大学がある本郷の隣だ。明治の文豪の小説にも西片は出てくる。文化の薫りがする、ガラッパチの私には似つかわしくない町だ。

よく応援部の後輩たちと「何のために応援するのか」「応援部が応援して野球部は勝つのか」「応援とは何か」等々、を地下鉄春日駅の傍の居酒屋「養老の瀧」で、喧々諤々、飲みながらディスカスした。その時、隣の席で飲んでいる学生さんたちの一人が一緒に飲もうと声を掛けてきた。それは本郷にある『鶴山館』という、主に岡山県津山市出身の大学生の寮生だった。大学は、東大のみならず、早稲田、明治、拓大等。皆、岡山弁丸出しの人の好い連中ばかりだった。それがご縁で鶴山館の寮生たちとは酒を酌み交わすようになった。

馬形さんはその鶴山館の寮生だったが酒はからっきし飲めない。私の3年後輩だから、私が応援団長の時は新入生だったのだろう。応援団は幹部が神様、新人は奴隷の世界だ。そのこともあって、私は学生時代の馬形さんの印象はほとんどない。しかし、彼が就活の折、私と同い年で鶴山館のドンで、今は津山の大園寺住職の清田寂順さんの紹介で、私が勤めていた安田信託銀行渋谷支店に訪ねてきたことははっきりと覚えている。

「そう言えば、馬形貢という男がいたな。酒は飲まないが、人生劇場の主人公の青成瓢吉のような男だ。義理と人情の世界に生きている。その点では私と同類だ」

そんなことを思って安田信託の人事部に紹介した。当時はオイルショックの時で就職氷河期だったが、馬形さんは変わり者の集まりの昭和53年入社組の仲間に入った。人事部の橋本世紀男さんには「ユニークさでは小林さんに勝るとも劣らない。面白い学生を紹介してくれてありがとう」と感謝された。私のリクルーターの実績第1号だ。

大場さんのこと

大場さんはとにかくバランス豊かな「エリート」を絵に書いたような人だ。

早稲田田大学政治経済学部卒。私が新人の時、入社案内に一緒に出していただいた。

元みずほ信託銀行常務、東京海上アセットマネジメント社長。日本証券アナリスト協会前会長。

海外の運用会社との交流を重ね、現在は業界の発展に尽力されている。運用業界きっての理論家として知られる。

また、私が結婚して借りていた目黒区三田のマンションを転勤で出ることになって、大場さんが引き続きお借りになった。そんなご縁もある。

大場さんから日本証券アナリスト協会に投稿された小論文を送っていただいた(添付)。

アナリストへのエール

〜「サステナビリティ」と「個の確立」〜

21世紀のキーワードは「サステナビリティ」

昭和モデルからの脱却とそれに伴う課題整理。

あらゆる組織人は、現在の組織を守るのではなく、原点に立ち返って組織の存在意義を問いただし、個々人が改めて考え尽くさねばならない。個の確立が不可欠だ。

明治新政府で近代日本の骨格を創り上げたリーダーや、戦後の日本の復興を切り開いた先人たちは、自らの信念をもとに新たな日本の形を創り上げたいという気概と行動力が歴史を動かした。経験したことのない課題に直面するこれからの時代は、水先案内人でもあるアナリストが個を確立し、先頭に立って先行きへのヒントを提供することが期待されている。

個を確立する上で意識しておくべき重要な心構えは、

⑴本質を追求すること。

自分の好みと善悪を混同しない。好き嫌いと行動の目的、善悪を混同しない。

⑵他人と比較せずに自らと向き合うこと。主体性をもって生きる。

当にその通りと納得する。

大場さんが仰っていることは、私が「如何に生きるか」「生まれてきた意味は」「働く意味は」を追求してきた、これからも棺を覆うまで追求していくことと同様なことだ。

44歳で銀行を退職し七転八倒しながらも生きてきたのは、小林博重の「個の確立」を追い求めてきたからなのだ。まだまだ道半ば。

やっと私の春夏が終わり、これからが「実りの秋」と「想いを伝える冬」が来る。

「個の確立」のベースを春夏で創った。これからの秋冬はそれを磨き上げる季節になる。どこまで磨き上げることができるか。

祖父は私に2つの磨き上げた胡桃を遺した。それだけしか遺してくれなかったが、それは何ものにも替えがたい私の宝物だ。

祖父の戒名は「不動院 積徳永寿居士」。生前葬には「戒名」もご住職にお願いしなければならない。

私も祖父のように、「徳」を積み、永遠につないでいきたい「魂」を持つところまでに少しでも近づきたいと思う。一層の努力精進が不可欠だ。

小林 博重

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