出張3日目、仕事を終えて17時半に福岡空港搭乗口に到着した。出発時刻は19:25。まだ、2時間ある。2泊3日の出張で丁度いい。今までは3〜5泊の出張がほとんどだった。それも九州出張は佐世保、長崎、福岡、北九州と毎日宿泊先が変わる。連泊でも疲れるのに全て別ホテルでの宿泊はそれ以上だ。ここのところ、長期出張が少し苦になっているのは歳のせいか。「無理はよそうぜ。身体に悪い」(村田英雄の「皆の衆」の歌詞)だが、昔日のバイタリティがなくなってきたことは、少し寂しい気がする。
今日は、8時半〜、10時〜、11時〜、14時〜、16時〜と5件の訪問をこなした。それぞれ、有意義な打ち合わせ、プレゼンテーションだった。その中でも、福岡事業構想大学院客員教授の若林宗男さんから、九州の地方創生について、示唆に富んだお話しを聴くことができたのはこの上ない収穫だった。
以前、九州北部信用金庫協会の篠原専務理事から、九州北部の13信用金庫の取引先を紹介する本(九州北部信用金庫協会監修)をいただいた。その本の推薦文を書いていらっしゃったのが若林さんだったこともあって、ご紹介いただいたものだ。
若林さんは九州観光推進機構(KTPO=KYUSHU TOURISM PROMOTION ORGANIZATION)の九州観光広報センター副センター長兼海外担当、地域活性化伝道師(内閣府)だ。
私が関わっている長崎IRも、OUEN JapanのOUEN塾も、いずれもその目的は九州の地方創生だ。九州が一体となって地方創生に取り組むことが大切なのだが、九州には7つの県があり、また江戸時代にはその何倍もの藩があった。それはそれぞれの個性はあると言うものの、纏まりと言う点では、一体感に欠ける。
北海道は面積では九州より大きいが一道であることもあり、纏まりの面では九州の比ではない。だから、アピールするコスパは遥かに九州を凌ぐ。
また、台湾と比較しても、台湾は一国であり、仮想敵国として大陸の中国がある。その点ではその一体感は九州の比ではない。九州は九州一島と纏まっているようでそうではないのだ。
九州観光推進機構はその問題意識があって設立された一般社団法人だが、なかなかそのミッション達成にはご苦労されているらしい。
若林さんは「ケネディのアポロ計画」の話をされた。
ケネディはライス大学でアメリカの宇宙計画について演説した。流石、希有なリーダーであるケネディの面目躍如だ。
「我々が10年以内に月に行こうなどと決めたのは、それが容易だからではありません。
むしろ困難だからです。この目標が、我々の持つ行動力や技術の最善と言えるものを集結しそれがどれほどのものかを知るのに役立つことを望み、先延ばしすることを望まないものだからです。
そして、これこそが、我々が勝ち取ろうと志すものであり、我々以外にとってもそうだからです」
できるからやるのではない。みんなができないと思う、しかし、やるべきことにチャレンジするのだ。
夢を語り、その夢の達成のために、今何をするのか、地道な努力をコツコツコツコツ積み重ねることなのだ。その階段の先の先に、見果てぬと思っていた夢が見果てる夢に変わる一瞬が来るのだ。
九州の地方創生を考える。九州の地方創生は、県境を取り払った、地方自治体に頼らないチャレンジが必要なのだろうと。それには民間がコツコツコツコツ、県境を越えて、ビジネスマインドで、地道に活動することだろう。
「千里の道も一歩から」と言うではないか。それが私=OUEN Japanのミッションなのだ。
今年の九州出張はこれが最後だ。実に有意義な出張だった。
見果てぬ夢を見果てる夢に変えよう。新たな気持ちで明日からまた頑張ろうと思う。
小林 博重