ビジネスパートナーと日頃感じていることを忌憚なく話す。勿論、ビジネスの話は当然だが、ビジネスを離れた「人生論」の話をする。

同年代ではない。彼女とは四半世紀以上の歳の差がある。私の息子たちと同年代だが、全く歳の差を感じない。それは「人生を前向きに生きる」という姿勢が共通なのではないか。 真っ直ぐな人生、人間として一番大切な「恕の心(人を思い遣る心)」を持って生きていこうという姿勢がある。
私も妻という人生のパートナーがいるし、彼女もそうだ。
妻も私同様、彼女が素晴らしい人だと絶賛している。夫婦共々、彼女が抜群に賢いこと、豊かで真っ直ぐな人間性の持ち主であると尊敬している。

それぞれの人生を生きてさまざまな経験を積み、今日がある。真っ直ぐで思い遣りがある人間は、ともすれば人に騙されたり裏切られたりすることが間々ある。それは人を見る目がないということもあるだろう。お人好しのせいもあるだろう。 しかし、そういう経験を生かして今日の真っ直ぐな自分がいるのだと思うこと、稲盛和夫さんの仰る「苦を磨き砂」にしているのだと思うことが人間の無限の成長につながる。
ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言ったそうだが、さしずめ、私たちは経験に学んで成長してきた愚者なのかもしれない。これからはもう少し賢くなって歴史から多くを学ぶことをしよう。そして、賢者の入り口に辿り着きたいものだ。

稲盛さんは「経営は人生そのもの」だと仰る。そうでないと経営は成功しない。幸せな人生を生きることは、素晴らしい経営をすることとイコールだ。[人生哲学=経営哲学]だ。

本田宗一郎さんも「哲学のない人は経営をすることができない」と仰る。また「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である」とも仰る。 哲学や理念を持って、それを行動に移すことをしなければ幸せな人生はない。陽明学の「知行合一」だ。

松下幸之助さんには高橋荒太郎さん、本田宗一郎さんには藤沢武夫さんというビジネスパートナーがいた。松下さんも本田さんも素晴らしいパートナーがいたからこそ、今のパナソニックやホンダがある。高橋さんや藤沢さんはあまり表舞台に出ることはなかったが、それはお二人の賢さゆえだろう。素晴らしいパートナーがいてこそ、人は成長し大器になる。

私も人生のパートナーとして妻がいてくれてこそ、曲がりなりにも真っ直ぐ生きていることができている。68歳にして、夢を追い続けることができている。 これはビジネスパートナーも然り。人生は経営であり、経営は人生そのものであるからだ。
お互い切磋琢磨することで大きく成長することができ、見果てぬ夢を見果てるところまでに近づけることができるだろう。

人間はひとりでは生きることができない。たとえオールラウンダーであっても、その人を支えてくれる人がいて成功者になることができる。 一匹狼であっても、素晴らしいビジネスパートナーを得ることで1+1が10にもなるのだ。

21世紀はダイバーシティの時代だ。その中でも男らしさを持った男性、女らしさを持った女性の対等なコラボレーションが最も身近なダイバーシティではないか。 それをサスティナブルなものにするためには、それぞれが「ウィズダム」と「リスペクト」を肝に銘じて生きることだ。それは、人間としての賢さと相手を思い遣る尊敬の心だ。

人生、棺を覆うまで成長したいものだ。そして「大変だったが、しかし、素晴らしかったといえる人生だった」と言って、この世とおさらばしたいと切に思う。

小林 博重