ビジネスパートナーの要件

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人生68年近くを生きて、数えきれないほどの多くの人に出会ってきた。特に私は人間好きなところがあって、人と出会う機会があれば積極的に出かけるし、私を訪ねてきてくださる人をよっぽどのことがなければ避けることはしない。

私は、柳生家の家訓に言う「大才は袖触れ合う縁をも生かす」をモットーとしている。その出会いは、心から尊敬でき、その人の行いや考え方を自分の血肉にしたいと思うメンターから、ごく一般的な人や、人間として如何なものかと思う人まで、百人百様、ピンからキリまでである。そして、その全てがいい出会いである。ピンの人から得るところが多々あることは勿論だが、キリの人からも多くの行動と考え方を学ぶことができる。他山の石である。
松下幸之助さんは「順境よし、逆境なおよし」と。また、稲盛和夫さんは「逆境を磨き砂として人格を高める」と仰っている。
人との出会いも同様だ。ピンの人との出会いは順境、キリの人との出会いは逆境。どちらもよい出会いであり、自分を高める磨き砂だ。

哲学者森信三先生の言葉に「人間は一生のうち、逢うべき人には必ず逢える。しかも一瞬早過ぎず、一瞬遅すぎない時に」という箴言がある。

全ての人との出会いは早過ぎることなく遅過ぎることなく訪れるものだ。結婚然り、ビジネスパートナー然り。

私が思うに、結婚は1回でいい。生涯添い遂げることができるというのが一番だ。
しかし、ビジネスパートナーとなると1回というわけにはいかない。私のような、何を仕事にしているのかどこで稼いでいるのか(あまり稼いではいないのでそう思われても当然だが)分からない人は、一匹狼ということもあり、ビジネスパートナーはなかなか定まらない。今までの人は「帯に短し襷に長し」だ。
ベンチャービジネスにおいても、共に起業したパートナーと長く続くケースはさほど多くはない。
ソニーの井深さんと盛田さん、ホンダの本田さんと藤沢さんは素晴らしい好例だが、その長続きしたわけは、それぞれの得手、才能才覚の違いのコラボに加え、ベースに共通した「人間哲学」があったからではないか。
利を追うビジネス(そのポイントは「能力」と「熱意」である)だけの共通項ではビジネスは長続きしないのだろう。絶えず、お互いに人間に対する温かい愛情がなければならないのではないか。

西郷南洲は『敬天愛人』の生き方を貫いた人だが、敬天愛人は、天を敬し、人を愛すことが「生きる意味」だということだ。
天から授かった己の天分を出し尽くし、世のため人のために生きる「人間哲学」を持った人とでなければ、私はビジネスパートナーとして、肩を組み、共にビジネスを極めることができない。

森信三さんは言う。
「人間の偉さは、才能の多少よりも、己に授かった天分を生涯かけて出し尽すか否かにあるといってよい」
「結局最後は、『世のため人のため』という所がなくては真の意味で志とは言いがたい」

小林博重

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