2020年 8月 29日の投稿一覧

評判ということ

坂本龍馬は言っている。

「金よりも大事なものに評判というものがある。世間で大仕事を成すのにこれほど大事なものはない。金なんぞは、評判のあるところに自然に集まってくるさ」

戦後の日本は聡明才弁な人を高い地位に引き上げ、権力を与えてきた。そのような人たちが戦後の高度成長を支えてきた。政治家しかり、高級官僚しかり、学者しかり。経済にしたところで、金融に代表される護送船団方式は、いわば官僚の意向を忖度して私利私欲を満足させようとの仕組みであり、到底ビジネスとは言い難い。私も大学を出てそのような既得損益でどっぷりと浸かった金融に入っていたので、そのお先棒を担いでいたわけだ。大口を叩くなと言われそうだが、勿論、その中に浸かっていた当時は私も従順なものだった。しかし、四十路を過ぎ、人生の半ばに差し掛かり、死を意識する年齢になると、「人生、如何に生きるか」という哲学的思考が頭を擡げるものだ。残りの人生を悔いなく生きたいという、これも人間の本能のようなものだ。人間の本能は理性を呼び戻す。本質を追求するようになるものだ。

金と評判は天と地ほどの差がある。
絶えず金が頭にある人がいる。聡明才弁な人もそんな人がいる。寧ろ、聡明才弁だからからこそ、知恵が回って「どうしたらお金を稼ぐことができるか」が絶えず頭にあるのではないか。私はそのような人とは心を開くことはしない。人間が違うと思うからだ。

やはり、龍馬がいう「評判」だろう。本質志向して事を成すことで評判は高まるものだ。
お金を稼ぐために評判を高めるのではない。死に際に「いい人生だった」と言って死ぬためだ。

カモメのジョナサンは言っている。
「大変だったが、しかし、素晴らしかったといえる人生を送りたい」と。

小林 博重

安倍首相の辞任会見に思う。

安倍首相が昨日の28日、健康上の理由で辞任する記者会見を行なった。7年8カ月の長期政権だったが、始めあれば終わりは来る。これだけ長いと驕りは出るだろうし、裸の王様にもなるだろう。功罪半ばするが、その功績は安倍首相でなければ成し得なかったことであり、高く評価に値するだろう。素直に「本当にご苦労様、ゆっくりおやすみください」心からと申し上げたい。

それにしても政治家とは因果な商売だ。国民のために命を投げ出すのが本来のあるべき政治家だが、そのような御仁は皆無に等しいのが偽らざるところではないか。政治家に聡明才弁な人は多々いるが、「人のために働く」という深沈厚重なる人物と言われる人は滅多にいない。
かの西郷隆盛や坂本龍馬は、そのくだらない「政治家ならぬ政治屋」に嫌気がさして、西郷は孤高の道へ、龍馬はビジネスで海外に雄飛しようとした。この二人は司馬遼太郎が好んで小説にした、実に人間的魅力がある、そのため後世の人たちに高い評価を受けて人気は抜群だ。 政治家ならぬ政治屋にはそんなチャーミングな人はいない。私見で言えば台湾の李登輝元総統ただ一人ではないかと思う。

「政治家である前に真っ直ぐな人間であれ」

混濁の世の中に染まることなく、「生きる哲学」を死守する人生を貫く政治家が最高レベルで尊敬に値する政治家だと思う。その意味で、私は今の政治家にはほとんど期待していない。寂しいことだと思うが致し方ない。

私は、よく、自分の器量を知り、その器量の及ぶところで、世のため人のために全力投球したいと思う。高からず低からず、素直な心で「我を知る」ことだ。

小林 博重