人生100年時代がいわれて久しい。

21世紀に生まれた子どもの半数は100歳まで生きるという推計がある。
日本人の平均寿命は、1980年では男性73.4歳、女性78.8歳だったが、2060年には男性84.2歳、女性90.9歳になるという。当に人生100年時代だ。

日本では60歳定年が主流だ。第二の人生は40年もある。現役時代の蓄えと年金だけでは不安だ。国の財政のこともあり、自助のウェイトを高めざるを得ない。それゆえ、国は「70歳現役社会」を目指しているのだ。

6月に国会で改正された高年齢者雇用安定法は、2021年4月から、70歳まで就業機会を確保することが企業の努力義務になる。

アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアには定年がないとか。
「働けるうちは働く」ことは、生活のためもあるが、人や社会とのつながりを得ることで認知症防止の役割も果たすと思われ、健康寿命が伸びることにも貢献することだろう。

戦前はサラリーマンの比率は高くなかった。圧倒的に職人や農業労働者のウェイトが高かった。彼らは生涯現役だ。当に、仕事の最中に倒れる人生だった。職業観はサラリーマンとは真逆だ。 私は、「人生100年時代は、職人の職業観を持って生きる時代」なのではないかと思う。

OUEN塾では、講師が「今ある仕事のうち、およそ半数は2030年までに技術革新、AIによって失われる」と学生たちに話していた。
これからは、人間にしかできない創造的な仕事をする人が生き残る時代だ。そのためのスキルは大切だが、それだけではダメだ。柔軟で豊かな発想、人とのスムーズなコミュニケーションが求められる。魅力的な人間になることだ。

私が銀行の人事部で社員の人事査定をしていた時は、支店長や部長が高く評価した人が人間的にも評価が高い人だと思っていた。
しかし、それから30年以上経って、それは間違いだったと考え方を変えた。

出世する人は、サラリーマンの生き方が上手である人で、必ずしも人間的に素晴らしい人ではない(勿論、そうでない人もいることはいるが)。

サラリーマンで社長になる人は何年かに1人だ。殆どの人はトップになることができない。役員にまで昇った人は、殆どが第二の人生では元気がなくなってしまう人が多い。 それはどうしてかと考えて、思った。会社でトップを目指す人は、それが目的になってしまうことが殆どで、本来の人間が生きる目的を見失ってしまうからではないかと。

定年は、第一の人生の終点だ。「定年までよく頑張った。卒業おめでとう」ということもあるが、定年はやはり寂しいものだ。
私は定年がない人生がベストと思う。辞めるとしたら、自分の意思で辞める生き方が面白いと思う(退職金とか企業年金とかいろいろハンディはあるが、生き方としてそのように思う)。 私は、日本の会社も「定年のない会社」を目指すべきだと思う。

人生100年を生き生きと生きたいと思えば、生活に不安がないお金を貯めておくことも必要だが、もっと大切なことは、「人生如何に生きるべきか」という人間哲学を若い時から考え、人間的成長と、合わせて人間にしかできない創造的なものを生むことができるスキルを身につけることではないかと思う。

小林 博重