この世を生きる意味

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「なぜ、働くのか〜生死を見据えた『仕事の思想』〜」と「人生の成功とは何か〜最期の一瞬に問われるもの〜」を読んだ。いずれも著者は田坂宏志さんだ。

*仕事に「思想」を持つ。
*「思想」こそ、現実に流されないための錨だ。
*「覚悟」を身につける。
*「死生観」「世界観」「歴史観」の3つの原点から、仕事を見つめる。
*「命」を何に「使」うか。そこから使命感が生まれる。

*「人生の成功」のために「勝者の思想」を抱いて歩むとき、限界が見えてくる。
*「達成の思想」を抱いて歩むときにも限界が見えてくる。
*「達成の思想」は「成長の思想」へと深化していく。

人生の旅の途中で巡り会う全ての人々が、かけがえのない人々であると感じられる。
旅の途上で出会う全ての景色が、深い意味を持った景色であると感じられる。
しかし、そうして歩んでいく旅も、いつか終わるときがやってくる。
そして、その旅が終わろうとするとき、その最期の一瞬に不思議な人物が現れる。そして、我々に静かに問う。
素晴らしい旅であったか。
そのとき、我々は答える。
ええ、素晴らしい旅でした。
振り返れば、この旅の途上では、様々な苦労や困難に出会いました。失敗や敗北の苦しさも体験しました。挫折や喪失の悲しみも味わいました。 しかし、そのおかげで、私はこうして成長することができました。
だから、この旅は素晴らしい旅でした。
その答えを聞き、その不思議な人物は、ふたたび問う。
では、その素晴らしい旅に感謝するか。
その問いに、しばしの沈黙の後、我々は答える。
ええ、素晴らしい旅でした。
しかし、私にとって、本当に感謝すべきは、素晴らしい旅ができたことではありません。
この旅に出ることができた。そのことが、私にとっては、最も深い感謝です。
我々は、いつの日か、この旅の最期の一瞬、そう答えるのでしょう。

私はこの本を読んで、稲盛和夫さんが『生き方』で書いていらっしゃる「魂を磨いていくことが、この世を生きる意味」ということが、今更ながらストンと胸に落ちた。

稲盛さんは、このように仰っていらっしゃる。

「私たち人間が生きている意味、人生の目的はどこにあるのでしょうか。もっとも根源的ともいえるその問いかけに、私はやはり真正面から、それは心を高めること、魂を磨くことにあると答えたいのです。 生きている間は欲に迷い、惑うのが、人間という生き物の性です。放っておけば、私たちは際限なく財産や地位や名誉を欲しがり、快楽に溺れかねない存在です。
なるほど、生きている限り衣食が足りていなくてはなりませんし、不自由なく暮らしていけるだけのお金も必要です。立身出世を望むことも生きるエネルギーとなるから、いちがいに否定すべきものでもないでしょう。 しかし、そういうものは現世限りで、いくら沢山貯め込んでも、どれ一つとしてあの世へ持ち越すことはできません。この世のことはこの世限りで一旦清算しなくてはならない。
そのなかでたった一つ滅びないものがあるとすれば、それは「魂」というものではないでしょうか。死を迎えるときには、現世で作り上げた地位も名誉も財産も全て脱ぎ捨て、魂だけ携えて新しい旅立ちをしなくてはならないのです。
ですから、「この世へ何をしにきたのか」と問われたら、私は迷いもてらいもなく、生まれたときより少しでもましな人間になる、すなわち僅かなりとも美しく崇高な魂を持って死んでいくためだと答えます。
俗世間に生き、様々な苦楽を味わい、幸不幸の波に洗われながらも、やがて息絶えるその日まで、倦まず弛まず一生懸命生きていく。そのプロセスそのものを磨き砂として、おのれの人間性を高め、精神を修養し、この世にやってきたときよりも高い次元の魂を持ってこの世を去っていく。私はこのことにより他に、人間が生きる目的はないと思うのです。
昨日よりましな今日であろう、今日よりよき明日であろうと、日々誠実に努める。その弛まぬ作業、地道な営為、慎ましき求道に、私たちが生きる目的や価値が確かに存在しているのではないでしょうか。
生きていくことは苦しいことのほうが多いものです。ときに、なぜ自分だけがこんな苦労をするのかと神や仏を恨みたくなることもあるでしょう。しかし、そのような苦しき世だからこそ、その苦は魂を磨くための試練だと考える必要があるのです。労苦とは、おのれの人間性を鍛えるための絶好のチャンスなのです。 試練を「機会」として捉えることができる人、そういう人こそ、限られた人生を本当に自分のものとして生きていけるのです。
現世とは心を高めるために与えられた期間であり、魂を磨くための修養の場である。人間の生きる意味や人生の価値は、心を高め、魂を錬磨することにある。まずは、そういうことがいえるのではないでしょうか。

これからも、生涯掛けて稲盛哲学を実践していきたいと思う。

小林 博重

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