公立大学法人 福岡女子大学 理事長・学長
梶山 千里(かじやま ちさと)様

梶山様

良いことをしてもらったらそれを恩返ししたいという気持ちを持って就職する学生が増えていくと思うんです。

■2018年2月に開催されたOUEN塾 in 福岡について、顧問としての感想をお聞かせください


小林さんがやったから僕は殆ど知らないんだけど、一つは指導する学生と受ける側の学生とに分けたこと。
指導する学生っていうのは、僕らがやっている”トップリーダー”が生まれるんです。
発案して人を動かさなきゃいけない。そういうのをさせるとすぐトップリーダーが出来るんです。
(団長が)そういう山賊(トップリーダー)の親玉になってるからさ(笑)

そういうことから、第一回OUEN塾で学生リーダーを務めた福岡女子大の学生が西鉄に内定をもらったみたいなんですよね。
西鉄は七社会の一つで、福岡女子大は女子大学という事もあって、採用は珍しいんですよね。
彼女はディベロッパー志向なのですが、今の福岡女子大に来たからそういう発想が出来るようになったんだと思うんです。
昔の福岡女子大だったら絶対に発想できない。

僕が学長を務めている福岡女子大学の話になりますが、僕は平成23年(2011年)から福岡女子大にきました。
そのときに教育改革をして、英語漬けにして全寮制にしたんです。
それまでは県内出身の学生が80%とかでしたが、今は60%程で、当時は教員になる学生が多かったんです。
今は国際化したので商社へ就職する学生が多いです。英語をつけるので、ANAやJAL、情報関係が多いです。
昔のうちの学生はそういうところへは行かなった。

梶山様

全体で1000人ほどしかいない小さい大学ですが、4年間のうち1学年で250人、1・2年生の間に外国へ留学で出る学生が約70%います。

ベルギーのルーヴァン大学という世界で40位ほどの大学に8人留学しています。東京大学で今70位くらいなので、すごいところですよね。そういう風にうちの学生でもあっちこっち行ってます。
70%の学生を送り出すということはそれだけ受け入れるということ。受け入れるということは大学はそれなりの責任を持ってやらないといけないです。なので、そういう学校としか交流協定を結ばないんです。

例えば、僕らはソウル大学と協定を結んでいるのですが、みんなびっくりするんですよ。うちは全校生徒で1000人の規模なのに対してソウル大学は30000~40000人位いますからね。

タイで言えばチュラーロンコーン大学、タンマサート大学、マヒドン大学の3つの大学と協定を結んでいます。
超一流の大学と協定を結ぶことによって英語が喋れるようになって国際化が図れる。そして今までうちの学生が就職してこなかったところにいける。
そういうところで経験を積むことによって学生はリーダーとしての意識を持って行くようになるよね。

OUEN塾の話に戻すと、そういう学生の中からOUEN塾の学生リーダーが出てくる。
また参加する学生の中には受け身の学生もいます。ありがたいという学生もいます。
でも感謝の気持ちを持っている学生が少ないです。
イベントの最後に僕が感謝の気持ちが足りないという趣旨の話をしたら、お金を出してくださっている企業の方も「いいこと言ってくれた」とおっしゃっていました。

小林さんがお金を集めてくれて、小林さん含めて学生リーダーが企業を手配してくれて。
そうすると日本を知りたいという留学生もいるけど、就職のために参加しているという学生もいる。
最終的には日本のために、また留学生もリーダーになるというのを残したいよね。

まだまだ一回しかやってないから。我々の目標は日本でリーダーになって、日本で本当に就職したいという子を造りたい。
その辺を今後徐々に変えていかないといけないですね。

問題点が見つかったという点でも第一回の開催は十二分に意味があったと思います。

■OUEN塾のお話を聞かれたときはどう思いましたか?


私のもともとの発想は学生の「地産地消」なんです。
福岡で一生懸命育てて、なんで東京に持っていかれるんだと。
そのためには地域のいろんなことを知っている学生を創るっていうのが大事だというのからスタートしたんです。
地産地消というと「物じゃないんだから!」って小林さんは怒りますけどね(笑)

九州で勉強した人が、九州の企業にあまり入らない。
県とか市は3年生をメインに就職の案内を出している。でも就職という言葉がまだそれほど切実ではない1・2年生の方が広い視野で考えられるんです。

また、県の国際部というのは留学生だけに焦点をあてていますが、日本人と留学生ごちゃまぜのほうが交流ができるというのと、日本人にとってもグローバル人材になると。
それから、学生主体のイベントは県も市もやっていない。学生主体にすると学生とのパイプが出来る。
この3つがOUEN塾の差別化のポイントとしてやったらどうだろうと提案をしました。
それを小林団長が実現してくれました。

小林さんが東京からやってきて、こういう活動をすると「君はなんで来たのか?」と当然言われますよね。東京でやればいいじゃないかと。それが大変なんですよね。
1・2年生を主体で動かそうとすると、やっぱり国際インターンシップがしたいよね。
そうなるとお金が必要。でも学生からもらうわけに行かないから寄付に頼るしかない。

お金を集めながら学生を育てるというのはものすごく大変なんです。

イベント開催にあたって学生と企業との相互のコミュニケーションが足りてなかった?

梶山様

学生リーダー達は良いと思います。
参加する側の学生は、ただの就職するための学生じゃ困るんですよね。
九州で就職するために、情熱を持って企業を知ってほしい。
そういう人を育てる人イベントにしたいですよね。
感謝の気持ちを持ってほしい。

学生の裾野を広げていかなきゃいけない。

継続は力なり。第一回は人数が少なかったけど、スタートしてしまえばどんどん広がっていくし、改善点も見つかっていくし、質の良い学生も来るようになる。

トップリーダーを育てる事が重要です。トップリーダの育成は、2階建て構造です。1階がリーダーで、2階がトップリーダーとすると、その間の階段が”感性”なんです。
感性がないとあがってこれない。トップリーダーとは死ぬほど考える。自分の考えでやれるのがトップリーダーで、僕らが教えられることはないんです。

人のため、仲間のために努力ができる人。

今回手を上げた人はトップリーダー候補です。企業からしたらそういう学生がほしいよね。

小林さんはリーダーをまず作って、それで1・2年生を引っ張っていかせようという戦略でしたが、僕はリーダーがいつの間にかトップリーダーになっていると思うんですよ。

いま内閣府と一緒にトップリーダーを育てるプログラムをやっているのですが、聴講生・研究生の中にいろんな企業の部長クラスの女性を入れてるんです。
そういうひとたちに「あなたの考えを実現するとなったときにそれを許せる心の広い上司はいるか」と聞くんです。
要は取締役ですよね。部長職の女性が「こういうことをしたら社会の役に立つ」といったときに、部長じゃ企業・組織としてできないんですよね。上司である取締役が良いよと言ってくれないとなるとやれないので、諦めるか上司が死ぬのを待つか。
上司がだめなところにいる部下はいくらトップリーダーでもだめなんですよ。
そういう雰囲気の企業の人しか来ても無理ですよね。

死ぬほど考えるというのも、今ニュージーランドの首相が産休に入ってますよね。
産休に入るのが当たり前というのは良いことなんですが、いまでこそそういう感じなんだけど、1年ほど前に日本の国会議員が選挙で当選したのに赤ちゃんを生むとなったときに「公約違反だ」と。
日本人って馬鹿じゃないかと思うのが、赤ちゃんを生むのに公約違反だとか、仕事ができないなら給料を返せとか。
ニュージーランドでは、6ヶ月くらい産休を取るんでしょ?

結婚していたら女性が赤ちゃんを生むのなんで当たり前じゃないですか。そういうところを日本人はわかってないんですよね。なぜそういう事になっているのか、死ぬほど考えろというんです。

考えれば改善策が出てくる。
考えて自分の意見を持つ。上司がやらせてくれるのであればそれを社会に知らせて広げていきなさいと。
それがトップリーダーです。

だからトップリーダーは自分一人ではできないんです。社会が許してくれないと。そこを教えるのがトップリーダーとしての事業なんです。

第一回に参加した学生は本当に変わりましたよ。頼もしいです。

■第二回の福岡と、金沢/石川について

梶山様

第一回の学生リーダーが第二回の学生リーダーを育てて、金沢で開催するときに第二回の精鋭学生リーダーを連れて行って金沢の学生を育てる。アメーバですよね。

何を言われてもへこたれないところが小林さんの強さですよね。

私としては、受けている学生も指導する側に行ってもらいたい。そしてその過程で感謝の心を持ってもらいたい。
ありがとうっていう気持ちを持たせるということも大事。
その気持を持つと美味しいところだけ吸っていいところに就職してやろうっていう学生が減っていくんじゃないかと思っています。
良いことをしてもらったらそれを恩返ししたいという気持ちを持って就職する学生が増えていくと思うんです。
結果としてうまく言ったねというのがいいですよね。最初から押し付けたらだめです。

■OUENJapanに応援メッセージをお願いします。

梶山様

小林さんも私も仲間内である学生リーダーも、願わくば参加する学生も、その人達をいかに教育するかを学んでいきたい。
お互いに学ぶ場なんです。いつ小林さんが引退するかわからないけれども、小林さんも学んで、僕は一生涯学びます。
学んだことを蓄積するだけでなく応用していく。それがアメーバですよね。

地産地消から始まって、良い果実が出来ていきそうですね。
我々の心も考え方も変わっていくし、その中でやっぱり感性というのを入れないと行けないなというのも気づき始めてます。
感性を入れることによって、感謝を呼び起こす。
そういうところまで行ければいいなと思っています。
意外と簡単に見えてデリケートなことです。