一般財団法人地方自治研究機構 会長 石原 信雄(いしはら のぶお)様

石原様

今のアイディアは非常にいいと思います。
留学生のニーズに沿っているし、日本社会にとっても好ましい活動だと思います。
願わくばこの活動の範囲をどんどん広げてもらいたい。

■OUEN Japanとのご関係をお教えください。


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小林さんとは、東京大学の銀杏(いちょう)会の同窓会で会長をやっていたときに東京大学同窓会の全国組織を作るのをお手伝いいただいたのがきっかけです。まだOUEN Japanが設立される前です。

私は前から問題意識を持っていたのですが、中曽根内閣のときに留学生10万人計画というものがあったんです。東南アジアを中心に、外国人留学生を受け入れていかなければならないと。
内容として、授業料の面で応援するというのがメインです。
ところが、授業料もそうなんですが留学生が一番困るのは言葉の問題と住宅の問題だということを小林さんに教えていただきました。特に住宅の問題。
私は責任者ではなかったのであんまり深刻には考えていなかったんです。でも言われてみればその通りだと。
政府は予算の制約もあるので授業料の援助だけなんですよね。基本的には。
しかし留学生が本当に一番困っているのは住宅問題で、特に探すのに困っているというのを小林さんに聞いて気付かされました。
そこの問題を小林さんのように民間でやっているのはすごくありがたいことで、政府も認識をしていかなければならないと言うことで、関係者に話をしました。

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当時野村證券の田淵さんという方と付き合いがありまして、野村證券が中国の留学生を住宅も含めて面倒見ているということを知ったんです。そうすると本当に学生は感謝して日本の勉強して帰っていくんです。日本に留学に来るくらいだから母国へ帰っても銀行や政府などいいところへ就職して幹部になるような人たちなんです。日本を理解し、日本へ恩返ししてくれるようになる。

ところが政府は授業料しか面倒を見ていないので、住宅で苦労すると。
一般の市民は、留学生の出身国によっては人種的な偏見を持っている人もいるんです。そうすると、中には日本へ来て苦労して反感を持って母国へ帰っていく留学生も出てきます。

そういった実態を聞いて「これはやっぱり授業料だけじゃだめだな。生活面まで含めた支援でないと本当の意味での留学生対策にならない」と問題意識を持ったとき、小林さんが住宅面のお世話をしようとしているというので、今まで欠けていたところにスポットを当てるわけですから非常にいいことだという思いがありました。

そのような経緯でOUENJapanという組織を作って留学生を支援して行こうということになったわけです。
当初私に理事長の依頼があったのですが、高齢でもありお断りしました。その代わりOUENJapanへの”応援”は引き受けると。

寮で日本人と留学生が一緒に過ごして交流することはすごくいいこと。言葉を学ぶ意味でも、日本の文化・習慣を学ぶ上でも学生間では最も有効なんですよね。
日本の学生と留学生が交流するとおのずとそこで習得できる機会に恵まれるわけですから。

同じ寮に住まわせるというのは小林さんのアイディアですよ。私はこんなにいいことはないということで後輩である全国の知事に連絡しているわけです。

■今度は就職のためにもっと企業を知ってもらうということで、民間の企業と交流をして就職をするベースを作るというのをやっているのが今のOUEN塾です。OUEN塾の活動についてはどのようにお考えになりますか?

OUEN小林団長

小林団長談- – –
『今年の2月に福岡女子大学学長の梶山先生や、地元企業・大学の協力を得て、「OUEN塾 in 福岡」というイベントを開催しました。
博多に大学にきている留学生のほとんど博多で就職をしていないんです。
したくてもどんな企業があるか知らないしということで、東京や大阪へ就職に行っちゃうんです。または日本で就職ができなくて母国へ帰ってしまって、日本嫌いになってしまう。』- – –

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住宅だけでなく、企業との交流もないと、日本で就職してくれないんですよね。
就職まで行かないと、彼らの本当の希望に添えないんですよね。言葉の問題から、授業料の問題、住宅の問題、日本人との交流の問題、最終的には希望するところへの就職の問題。これが解決できれば一番いいんですけどね。
そのためには受け入れ側である、企業側の理解も必要なんですよね。

OUEN Japanが就職までいろいろお手伝いするとなると、それは留学生に究極の希望ですから、そこに着目して活動していることはすごくいいことだと思います。
国の制度や消費者の制度というのは、どうしても行政が行うには限界がありますからね。議会の理解を得ないきゃいけないですし。
小林さんのように民間の立場でやるには事実上即応できる柔軟性っていうのがあるんじゃないですかね。

ただ、民間の立場でやるには財源面での課題がある。いいことをしようと思ってもお金がかかりますから。その財源をどう調達するかっていうことが課題になるんでしょうね。
欲を言えば民間の活動に対して、企業がなんとか応援してくれるとありがたいですね。
いまは人手不足で、優秀な人材っていうのを求めてるわけですから。
企業とか、経団連とかが中心となって、経済界がこういう民間の活動に対して一定の支援をしてくれるといいことだと思います。

役所の場合はどうしても税金を使いますから、議会でチェックしなきゃいけませんので、スピード感や制約など柔軟性が失われるんです。問題意識を持っている役人がいてもストレートでそれを実行する訳にはいかないんですよ。政治と行政の接点がありますから。

だからね、私は小林さんの活動はすごく貴重だと思っています。それを見ながら、できれば制度として取り上げていくと。そうするともっと広くなりますからね。
文科省なり、厚労省なり、経産省なり、関係する省庁が問題意識を持って、それを制度化する方向に持っていけるのが一番いいですね。そうすると財政的なバックアップが出来ますから。

■OUEN Japanに期待することをお教えください。


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今のアイディアは非常にいいと思います。留学生のニーズに沿っているし、日本社会にとっても好ましい活動だと思います。
願わくばこの活動の範囲をどんどん広げてもらいたい。今は特定の理解のある地域のみで開催されている。
同じニーズは全国各地どこにでもある。どんどん広げていってほしい。

全国へ広げていくとなるとある程度財政的なバックアップが必要。そうなると制度的な裏付けが必要となる。制度的なものになると制約もあるわけですね。その辺の兼ね合いはあると思うが、今はどんどん民間のアイディア・考えでどんどん広げてほしい。必要であれば政治的なバックアップをする、というかたちがいいのではないですかね。