自身の66年の人生を振り返って、つくづく人間の性を感じています。

世界や世間のトラブルは増えることはあっても減ることはありません。人間は、知恵がつくほどその知恵を世の中がよくなるように使うことはしているのですが、悪知恵というか、人間の欲望のなせる業なのか、その自分第一と考える欲望を満足させるために、絶えることなく戦争、諍い、事件を起こしてしまうのです。 中国は孔孟を生んだ理想郷と思いきや、節操のない醜い社会であったがためにそれを正すべく孔子や孟子が現れたのだと思います。

欲望の塊である人間が集まって社会を作っているわけですから、少しでも自分がいい目を見たいと思う欲望が事件を起こします。欲望が人間の活力になるとも言えますが、その欲望をきちんとコントロールできる人が大人なのだと思います。その観点から考えると本当の大人はごく稀にしかいないのではないか。殆どの人間は欲の塊の子どもです。本当の子どもは天真爛漫な愛すべき純な心を持っていますが、子どもの大人はそれは持ち合わせていない人が多い。

天真爛漫な愛すべき純な心を失わず、人間が生きるために持っている「欲望」をきちんとコントロールできる人間が本当の大人なのだと思います。

では、自分はどうなのかと自問自答すれば、本当の大人になりたいと思って一生懸命生きているのですが、本当の大人の入口にもたどり着いていない、というところでしょうか。 しかし、66歳になった今、肉体が少しずつ老化していることを自覚できるようになって、青年や壮年の頃よりも成長している自分を感じています。
これからも少しずつ身体は老化していきますが、心のレベルは少しずつでも高めていきたいと思います。その意味で、身体がこの世から消えてなくなる瞬間が人間の心のピークなのでしょう。

稲盛和夫さんが塾長をされている盛和塾が2019年末をもって解散されることになりました。私も何年かは盛和塾生であったこともあり、感慨一入です。

昨年末の稲盛塾長からのメッセージです。
「私は来年(2019年)1月で87歳になります。今まで皆さんにお伝えしたいことはすべてお話ししてきたつもりです。私は力の限り盛和塾に心血を注いでまいりました。しかし、最近は身体がいうことをきかないこともございますため、誠に残念ながら、私自身が盛和塾の勉強会に参加することは、来年の世界大会で終了したいと考えております。また、この盛和塾本部と各地の盛和塾の活動も来年(2019年)で終わりにしていただきたいと思います。 当初から、盛和塾は私一代限りにしようと言っておりましたが、何度も何度も考えた結果、この盛和塾は一代限りで終わらせるのが一番良いと判断いたしました。
その理由としては、組織を残すことになれば、いつかはこの組織を悪用したり、またこの組織の名前を汚したりする人間が出てくる可能性が考えられるということです。私の代わりに、誰かが「フィロソフィー」を解説しても、もうそれは稲盛哲学ではありません。語る人の考えが投影されてしまうからです。
盛和塾が発足してから、私自身も研鑽を積み、京セラやKDDIを大きく発展させていくことができました。また、盛和塾の多くの方に助けられ、JALの再生を成し遂げることができました。 盛和塾で私も多くの学びと勇気をいただいたことに、深く、深く感謝申し上げます。
是非、今までに学ばれたことを実践し、社員の方々を幸せにし、社会のために尽くされますことを切に望みます。皆さんが利他の心をもって、世のため人のために貢献されますことを祈っております」

私にとっても最大最高のメンターである稲盛和夫さんのお言葉は実に感慨深いものがあり、改めて心が引き締まる気がします。
心して、日々の活動に精進したいと思います。

小林 博重

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